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JPCERT-AT-2000-0008
JPCERT/CC
緊急報告 - IMAP サーバプログラムを悪用したアタック
初 版: 1997/09/09 (Ver.01)
発 行 日: 2000/08/25 (Ver.03)
有効期限: 2000/08/31
最新情報: http://www.jpcert.or.jp/at/2000/at000008.txt
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いくつかの IMAP サーバのインプリメンテーションに、本文書の Ver.01 で
報告したものとは異なるセキュリティ上の弱点が確認されています。「III.
対策」をご参照ください。
I. 状況説明
いくつかの IMAP サーバのインプリメンテーション、および、IMAP サーバ
と協調して動作するように設計されたいくつかの POP サーバのインプリメン
テーションには、セキュリティ上の弱点が含まれています。これらの弱点を悪
用しようとする不正アクセスについて、JPCERT/CC は報告を受け取りました。
セキュリティ上の弱点を含む IMAP サーバプログラムまたは POP サーバプ
ログラムがインストールされており、かつサービスを受けつける設定になって
いるシステムでは、リモートから管理者 (root) 権限で、任意のコマンドを実
行されたり、あるいは任意のプログラムを送り込まれた上でそれらを実行され
る可能性があります。この弱点が悪用されると、ホストのパスワードファイル
等のセキュリティ上重要なファイルを改ざんされたり、その他さまざまな不正
アクセスを管理者権限で実行される可能性もあります。
JPCERT/CC は、これらのセキュリティ上の弱点を含むサーバプログラムを直
ちにバージョンアップする、あるいはサービスを使用不能にすることを推奨し
ます。
II. 想定される影響
直接の影響としては、
・攻撃者にリモートから管理者 (root) 権限を不正に入手される
可能性があります。その際に、
・不正なプログラムを送り込まれ、それを管理者権限で実行される
可能性があります。また、それらを利用して、ホストのパスワードファイル等
セキュリティ上重要なファイルの改ざん、裏口の設置など、さまざまな不正ア
クセスを管理者権限で実行される可能性があります。さらに侵入されたまま放
置しておくと、踏み台となって、他のサイトに大きな迷惑を与える可能性もあ
ります。
III. 対策
セキュリティ上の弱点を含む IMAP および POP サーバプログラムがシステ
ムにインストールされている場合には、早急に次の (1)(2) いずれかの対策を
とられることを強く推奨します。
OS によっては、標準的な設定で IMAP サーバがインストールされている場
合もあるため、IMAP サーバを利用していなくても、既にインストールされ利
用できる状態になっていないかどうか、改めて確認されることを推奨します。
また、すでに攻撃を受け、管理者 (root) 権限を悪用された可能性が否定で
きない場合には、上記の対策に加え、再発防止のため (3)(4) の対策をとられ
ることを推奨します。
(1) IMAP および POP サーバプログラムのバージョンアップ
(2) IMAP および POP プロトコルによるサービスの停止
(3) 全ユーザのパスワードの変更と不要なアカウントの削除
(4) システムの再構築
(5) 監視用ソフトウェアのインストール
いずれの場合においても、念のため (5) の予防策をあわせて実行されるこ
とを推奨します。
(1) IMAP および POP サーバプログラムのバージョンアップ
セキュリティ上の弱点を含むバージョンの IMAP および POP サーバプロ
グラムを利用しており、サービスを停止することができない場合には、直
ちに最新版にバージョンアップすることを強く推奨します。
JPCERT/CC は、ワシントン大学で開発された IMAP4rev1 サーバの古い版
にセキュリティ上の弱点が含まれることを確認しています。その他のイン
プリメンテーション、バージョン、およびバージョンアップに必要な情報
の所在については、「IV. 参考情報」をご参照ください。
直ちにバージョンアップすることができない場合には、一時的にサービス
を停止するか、あるいは (5) に述べるソフトウェアを用いて IMAP およ
び POP プロトコルによるサービスの利用を特定のマシンのみに規制する
ことを推奨します。
(2) IMAP および POP プロトコルによるサービスの停止
サービスを停止することが可能な場合には、直ちに IMAP および POP プ
ロトコルによるサービスを停止することを強く推奨します。
典型的なシステムでは、/etc/inetd.conf ファイル中にある imap および
pop (ないし pop2, pop3) の設定行を無効にしたうえで、inetd プロセス
に -HUP シグナルを送るか、あるいはシステムを再起動することにより、
サービスを停止することができます。
(3) 全ユーザのパスワード変更と不要なアカウントの削除
この不正アクセスが成功した場合には、当該ホストに登録されているユー
ザのアカウント名とパスワードが流出している可能性があります。そこで、
登録している全ユーザのパスワードを変更します。パスワードを設定する
際には、容易に類推されないようなパスワード文字列を選択します。また
不要なアカウントが登録されている場合には、それらのアカウントを削除
します。
(4) システムの再構築
管理者権限が悪用されると、セキュリティ上重要なファイルを改ざんされ
たり、裏口やトロイの木馬などをシステム内部に仕掛けられたりする可能
性があります。外部からのアクセスログ等を確認し、ホストへの不正侵入
の可能性が否定できない場合には、システムの再構築を行なう必要があり
ます。
(5) 監視用ソフトウェアのインストール
監視用ソフトウェアとして、tcp_wrapper のようなツールをインストール
し、外界からの接続を監視・規制することは、不正アクセス対策として効
果的です。また tcp_wrapper では、アクセス制御機能だけでなく、「ド
メイン somewhere.co.jp からリモートログインの接続があったときに、
管理者にメールを送信する」といった設定ができるようになります。
tcp_wrapper は以下の URL から入手することができます。
http://www.cert.org/other_sources/tool_sources.html
IV. 参考情報
今回のアタックについては、以下の参考資料もご覧ください。
http://www.cert.org/advisories/CA-98.09.imapd.html
http://www.cert.org/advisories/CA-97.09.imap_pop.html
http://www.cert.org/summaries/CS-97.04.html
http://www.nai.com/nai_labs/asp_set/advisory/21_imap_adv.asp
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<JPCERT/CC からのお知らせとお願い>
今回の不正アクセスも含め、インターネット上で引き起こされるさまざまな
不正アクセスに関する情報がありましたら、info@jpcert.or.jp までご提供く
ださいますようお願いします。JPCERT/CC の所定の様式
http://www.jpcert.or.jp/form/
にご記載のうえ、関連するログファイルのメッセージとともに、
info@jpcert.or.jp
までお送りください。
JPCERT/CC に頂いた報告は、報告者の了解なしに、そのまま他組織等に開示
することはありません。JPCERT/CC の組織概要につきましては、
http://www.jpcert.or.jp/
をご参照ください。
_________
注: JPCERT/CC の活動は、特定の個人や組織の利益を保障することを目的と
したものではありません。個別の問題に関するお問い合わせ等に対して必ずお
答えできるとは限らないことをあらかじめご了承ください。また、本件に関す
るものも含め、JPCERT/CC へのお問い合わせ等が増加することが予想されるた
め、お答えできる場合でもご回答が遅れる可能性があることを何卒ご承知おき
ください。
注: この文書は、不正アクセスに対する一般的な情報提供を目的とするもの
であり、特定の個人や組織に対する、個別のコンサルティングを目的としたも
のではありません。また JPCERT/CC は、この文書に記載された情報の内容が
正確であることに努めておりますが、正確性を含め一切の品質についてこれを
保証するものではありません。この文書に記載された情報に基づいて、貴方あ
るいは貴組織がとられる行動 / あるいはとられなかった行動によって引き起
こされる結果に対して、JPCERT/CC は何ら保障を与えるものではありません。
_________
1997,1999 (c) JPCERT/CC
この文書を転載する際には、全文を転載してください。また、転載は2000年
8月31日以降は行なわないようにしてください。なお、これは、この文書の内
容が2000年8月31日まで有効であることを保障するものではありません。情報
は随時更新されている可能性がありますので、最新情報については
http://www.jpcert.or.jp/at/
を参照してください。やむを得ない理由で全文を転載できない場合は、必ず原
典としてこの URL および JPCERT/CC の連絡先を記すようにしてください。
JPCERT/CC の PGP 公開鍵は以下の URL から入手できます。
http://www.jpcert.or.jp/jpcert.asc
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更新履歴
2000/08/25 参照 URL の更新
1999/01/26 ワシントン大学版 IMAP4rev1 サーバの古い版に含まれる問題に関
する修正、他
1997/09/09 First Version.
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