JPCERTコーディネーションセンターは、本年10月1日をもちまして、創立10周年の佳節を迎えることができました。この10年間の活動に御支援、御協力を賜りました皆様の御高配に心より厚く感謝申し上げます。
JPCERTコーディネーションセンターが創設された1996年は、「インターネッ ト」という言葉がその前年の流行語トップ10に選ばれたことに象徴されるとお り、商用インターネットのサービスが浸透してきて、一般の人々のインターネットの利用が急激に増加し始めた時期にあたります。この10年の間のインターネットの普及と高速化には目を見張るものがありますが、この間、2000年の中央省 庁の web ページ書き換え事件や、2003年の MSBlaster ワームの蔓延、犯罪目 的によるフィッシングの増加等にみられるようにコンピュータセキュリティインシデントの脅威も同時に増加し続けてきていると言わざるをえません。これらの脅威に対し、ITベンダ、セキュリティベンダ及びインターネットサー ビスプロバイダ各社による民間の情報セキュリティ対策の実践、サービス提供のみならず、政府においても情報セキュリティ政策を担当する関係省庁において専門課室が設置される等、取組みが着実に進められてきているところです。
JPCERTコーディネーションセンターにおいても、この間のインターネットの普及・高速化や攻撃手法の多様化・高度化に対応するべく、コンピュータセキュリティインシデントへの対応支援活動(事後対応支援) から、ソフトウエア製品等の脆弱性に関わる情報への対応や早期警戒情報の発信 (インシデントの未然防止支援) へと活動範囲を広げつつ、一貫して、国内外の情報セキュリティ関連組織との連携強化に尽力して参りました。
特に、この10年の間に培った海外のCSIRT (コンピュータセキュリティインシデント・レスポンスチーム) との間の強い信頼関係は、国境を越えたトランザクションが日常的に取り交わされるインターネット環境における情報セキュリティ問題を解決するための道筋のひとつとして有効に機能しているところであり、今後とも、CSIRT 間の連携を通じて、より安全で安心して利用できるインターネット環境の構築に貢献して参りたいと考えています。
また、特定の情報資産を狙った犯罪目的による攻撃の脅威に対し、情報資産を有する各組織が自立的にコンピュータセキュリティインシデントへの対応、未然防止の機能を備えるための支援 (組織内CSIRT機能構築支援) 活動にも力を入れて参りたいと考えています。
皆様の御支援、御協力に改めて御礼を申し上げますとともに、スタッフ一同、いっそうの努力を傾ける所存でございますので、引き続き、倍旧の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
有限責任中間法人 JPCERTコーディネーションセンター
代表理事 歌代和正
2006年10月1日