実証実験: サイバーグリーンプロジェクト(Cyber Green Project)について
JPCERT/CCは、健全なインターネットの実現に向けて、「サイバーグリーン(Cyber Green)」と名付けた取り組みを進めています。
サイバーグリーンは、インターネット全体の健全性とリスクを各国/地域間で比較可能にする指標を打ち立てます。そして、その指標を用いて、各国のCSIRT、ISPやセキュリティベンダーなどの技術パートナーと連携し、より効率的に健全なサイバー空間を実現することを目的とします。
具体的には、
2.それぞれのリスク環境要因を、世界各国のセキュリティベンダーなどの協力のもと収集し、
3.インターネットの健全性レベルなどを、リスク別、国別、地域別に、比較可能な指標で表し、可視化し、また長期的な変化を明らかにします。
4.そして各国CSIRTやISPなどとデータを共有し、連携してインターネットの「クリーンアップ」を行います。
5.これにより、中長期的に、インターネット及びサイバー空間を攻撃や犯罪のインフラストラクチャとして悪用しにくくすることを目指します。
取り組みの背景
インターネットが日々の生活に欠かせない存在になるのと共に、リスクも多様化・増大し、これに対応するため国際連携や、調整業務はこれまで以上に重要になっています。
JPCERT/CC は、これまでAPCERTを始めとする地域CSIRTフォーラムや、ナショナルCSIRT会議、FIRSTやCSIRT開発支援の場において、情報資産、重要なシステムのセキュリティ対策は、国レベル、企業レベル、個人レベルにおける「防御策」だけではなく、グローバルなインターネットエコシステム全体を、より健全かつ堅牢にすることで、攻撃や犯罪に悪用されるリスク環境を世界規模で縮小させていく取り組みが重要であると発信してきました。
日本国内において2006年から5年間運用されたサイバークリーンセンター(CCC)の国内連携の経験から得られたグッドプラクティスの発信は、国境を越えさまざまな国で類似の取組みに応用されてきました。
国レベルでの対応がすすむ中、今求められているのは、第一にリスクを定量的に比較できる指標であり、第二に国や地域の枠を超えてインターネット環境改善の取り組みを行う国際連携のハブ機能であると考え、まずはその2つを実現する取組みを調査・研究事業「サイバーグリーンプロジェクト」として立ち上げることとしました。
今後の取り組み
本プロジェクトは2014年度より経済産業省の委託事業として実施されています。
JPCERT/CCでは、指標作成エンジンを開発し、環境改善の取り組みを行うポータルサイトを準備して参りました。2014年11月からはコミュニティメンバ(リスク環境データを提供していただいているデータプロバイダーやセキュリティベンダーの皆様、いくつかのCSIRT)と連携し、小規模な試験運用を実施し、コンセプトの実証実験を開始しました。
この実証実験を経て、2015年4月以降は、インターネットの健全性レベルを表す指標の充実を図るとともに、国内外に広くプロジェクトへの参加を募り、真に中立的な運用による世界規模のクリーンアップ体制に拡張して行くことを目指します。
Cyber Green Projecthttp://www.cybergreen.net/
公開日 | タイトル | PDF版 |
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2015-04-13 | Cyber Green: Improving Cyber Health through Measurement and Mitigation|(NCSC One Conference 2015) | 5.92MB(PGP署名) |
公開日 | タイトル | PDF版 |
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2014-11-17 | サイバーグリーンの背景について(日本語) | 315KB(PGP署名) |
2014-11-17 | The Cyber Green Initiative: Concept Paper(英語版) | 432KB(PGP署名) |
2014-11-17 | The Cyber Green Presentation Sheet(英語版) | 825KB(PGP署名) |