訃報に接し、代表理事として、また一人の同僚として、深い悲しみとともに心より哀悼の意を表します。
早貸氏は1984年に法務省に入省されてから、外務省、経済産業省等でのご経験を通じ、電子署名認証業法、電子商取引法制など、わが国の法制度と情報化の基盤整備に大きな貢献をされてきました。
その後、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター長を務められ、2006年に当センターの常務理事に就任し、日本の窓口としてのインシデント対応の中核を担われました。
とりわけ、多くの組織がまだサイバーインシデントを認識していないころからインシデント対応の組織的な対応の重要性を強く訴え、CSIRTの普及に尽力されました。インシデント対応の現場を指揮した豊富な経験と、法制度と技術の両面に精通した立場は、わが国のサイバーセキュリティ分野においてかけがえのない唯一の存在でありました。今日における、各組織のCSIRTが国際的に連携して脆弱性やインシデントに対応する体制の基礎を形作った一人であります。2015年の経済産業大臣賞、2012年の情報セキュリティ文化賞はそのご功績を象徴するものです。
わが国にとっても重要な役割を果たされましたが、私たちJPCERTコーディネーションセンターにとっても大事な存在でした。2018年にはご病気のために専務理事を退任されましたが、外部理事として当センターの活動を温かく見守り、折に触れて的確な助言を寄せてくださいました。職員に対しては、中立かつ公平な立場からのインシデント対応という当センターの精神を強く指導し、理事や外部組織、時には国際的なイベントや活動に対しても積極的に関わることをいつも勧めていました。私は、理事になりたてで戸惑っていたころに、職員との間をつないでいただいた温かい言葉を忘れることが出来ません。あのお人柄と未来を見据えた数々の言葉は今も私たちの心に残っています。
早貸氏が残された多大なご功績とサイバーセキュリティ対策の志を受け継ぎ、私たちは今後も日本のサイバーセキュリティの発展に尽力してまいります。
ここに生前のご尽力に深く感謝申し上げるとともに、心より御冥福をお祈り申し上げます。
代表理事 菊池 浩明
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