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インターネットセキュリティの歴史 第3回 「京都府宇治市住民基本台帳データ漏えい事件」

1999年5月21日、京都府宇治市の住民基本台帳のデータ 21万7617件分が、
民間業者のもちこんだ MO ディスクによって外部に流出し、名簿業者に
よってインターネット上で販売された事件です。

これに対して、プライバシーを侵害されたとして市民による損害賠償請
求訴訟が起こされました。その結果、2002年7月11日、最高裁は宇治市
の上告を棄却し、宇治市に 1人あたり 1万円の慰謝料の支払いを命じる
決定をくだしました。この判決は司法判断として、個人情報の基本4情
報 (氏名、住所、性別、生年月日) を漏えいした場合の慰謝料を確定し
た初の判決となりました。

なお事件当時、宇治市はすでに個人情報保護条例を施行していましたが 
(1999年4月施行) 、事件発覚後すぐに条例改正に着手し、現在では罰則
等について民間委託先等も適用対象とすることなどを明文化しています。

自治体による初めての大規模な個人情報流出であり、また個人情報流出
に対して慰謝料の支払いが命じられたという点において、その後のイン
ターネットを介した個人情報漏えい事件の対応の際に参考とされること
になりました。
参考文書(日本語)

Weekly Report 2007-04-18号 に掲載

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