-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- ====================================================================== JPCERT-PR-2006-0005 JPCERT/CC JPCERT/CC 活動概要 [ 2006年7月1日 〜 2006年9月30日 ] 発行日: 2006-10-17 ====================================================================== §1. インシデント報告 http://www.jpcert.or.jp/ir/ 情報システムにおけるインシデントとは、正当な権限をもたない人がコン ピュータを不正に利用するようなコンピュータのセキュリティに関わる事件、 出来事の全般を指します。このようなインシデントが発生した場合、その被害 の拡大を最小限にするための行動を、我々はインシデント対応 (レスポンス) と呼んでいます。 JPCERT/CC では、広く皆様にインシデントに関する情報提供のご協力をお願 いして、インシデント対応のサービスを行っております。 JPCERT/CC が 2006年7月1日から2006年9月30日までの間に受領したコンピュー タセキュリティインシデントに関する報告の件数は 670件でした。 注: ここにあげた数字は、JPCERT/CC が受け付けた報告 (メール、FAX) の 件数です。従って、実際のアタックの発生件数や、被害件数を類推でき るような数値ではありません。また類型ごとの実際の発生比率を示すも のでもありません。一定以上の期間に渡るアクセスの要約レポートも含 まれるため、アクセスの回数と報告件数も一般に対応しません。また、 報告元には、国内外のサイトが含まれます。 I. インシデント報告の送信元による分類 JPCERT/CC が受領したインシデント報告の送信元をトップレベルドメインで 分類したもののうち、件数の多いものは以下の通りです。 .com 330 件 .jp 269 件 .br 30 件 .kr 13 件 .edu 9 件 .de 4 件 II. インシデント報告より派生した通知連絡 JPCERT/CC から国内外の関連するサイトに通知連絡した件数は 252件です。 この通知連絡数は、アクセス元などへの連絡仲介依頼を含むインシデント報告 に基づいて行われたものです。 III. インシデント報告のタイプ別分類 (1) プローブ、スキャン、その他不審なアクセス (scan) JPCERT/CC では、防御に成功したアタックや、コンピュータ/サービス/弱点 の探査を意図したアクセス、その他の不審なアクセス等、システムのアクセス 権において影響が生じない、または、無視できるアクセスについて 219件の報 告を受領しています。 このような探査は、自動化ツールを用いて広範囲に渡る任意のホストに対し て行なわれています。セキュリティ上の弱点を放置していると、弱点の存在を 検出され、ホストへの侵入等さまざまなアタックを受ける可能性があります。 参考文献 [1] [2] [3] [4] [5] [6] をご参照ください。 22 (ssh) 41件 (*1) 135 (epmap) 25件 (*1) 445 (microsoft-ds) 22件 (*1) 139 (netbios-ssn) 13件 (*1) 9898 (monkeycom) 5件 (*1) 80 (http) 5件 (*1) 5554 (sgi-esphttp) 5件 (*1) 1023 5件 (*1) 1433 (ms-sql-s) 4件 (*1) 総合的なプローブ、スキャン 97件 (*2) (*1) ワームによる感染の試みやワームなどによって設置されたバックドア からの侵入の試みと思われるアクセスが報告されています。参考文献 [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] をご参照ください。 また、以下の URL もご参照ください。 TCP 1025番ポートへのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050012.txt Microsoft 製品の脆弱性を使って伝播するワームに関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050008.txt Microsoft 製品に含まれる脆弱性に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050007.txt TCP 1433番ポートへのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050006.txt VERITAS Backup Exec に含まれる脆弱性に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050004.txt OpenSSH の脆弱性を使ったシステムへの侵入に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050003.txt phpBB の脆弱性を使って伝播するワームに関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2004/at040011.txt Windows LSASS の脆弱性を使って伝播するワーム W32/Sasser http://www.jpcert.or.jp/at/2004/at040006.txt Status Tracking Note TRJVN-2004-02 W32/Sasser ワーム http://jvn.jp/tr/TRJVN-2004-02/ JP Vendor Status Note JVNCA-2004-02 大量に電子メールを配信するワーム http://jvn.jp/cert/JVNCA-2004-02/ Netsky.Q のサービス運用妨害攻撃に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2004/at040002.txt Microsoft ASN.1 Library の脆弱性に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2004/at040001.txt TCP 139番ポートへのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2003/at030007.txt Microsoft IIS 5.0 の脆弱性に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2003/at030003.txt TCP 135番ポートへのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2003/at030005.txt Windows RPC の脆弱性を使用するワームに関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2003/at030006.txt OpenSSL の脆弱性を使って伝播する Apache/mod_ssl ワーム http://www.jpcert.or.jp/at/2002/at020006.txt TCP 1433番ポートへのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2002/at020002.txt Microsoft IIS の脆弱性を使って伝播するワーム http://www.jpcert.or.jp/at/2001/at010018.txt Microsoft IIS の脆弱性を使って伝播するワーム "Code Red II" http://www.jpcert.or.jp/at/2001/at010020.txt 80番ポート (HTTP) へのスキャンの増加に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2001/at010023.txt (*2) 総合的なプローブスキャンとは、同一発信元からの複数ポートに対す るスキャンなど、いくつかのプローブスキャン情報をまとめてご報告 いただいたものです。 (2) 送信ヘッダを詐称した電子メールの配送 (forged) JPCERT/CC では、差出人アドレスなどの送信ヘッダを詐称した電子メールの 配送について 3件の報告を受領しています。 電子メールの送信ヘッダを詐称して、メールの中継には関与していない第三 のサイトへのメール配送が行なわれています。この結果、多量のエラーメール が作成され、計算機資源やネットワーク帯域が消費される可能性があります。 また、差出人アドレスを詐称された場合、これらのメールの発信元であると いう疑いをもたれる可能性があります。送信ヘッダを詐称した電子メールの配 送については参考文献 [20] [22] [29] をご参照ください。 (3) システムへの侵入 (intrusion) JPCERT/CC では、管理者権限の盗用が認められる場合を含むシステムへの侵 入について 1件の報告を受領しています。 侵入方法としては、次のような事例が報告されています。 - 脆弱なパスワードを総当り攻撃、辞書攻撃で解読され侵入された など 侵入を受けた場合の対応については、以下の URL で公開している文書「コ ンピュータセキュリティインシデントへの対応」の V. および VI. を参照し てください。 コンピュータセキュリティインシデントへの対応 http://www.jpcert.or.jp/ed/2002/ed020002.txt 今回受領した報告において、侵入後に行なわれた操作のうち、主なものを以 下に紹介します。 - 盗聴プログラムのインストール (キーロガーの設置など) (*3) (*3) 以下の URL をご参照ください。 キーボード入力などを記録し外部に送信するプログラムに関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2004/at040008.txt (4) フィッシング (phishing) JPCERT/CC では、銀行などのサイトであると詐称して、Web のフォームなど から入力された口座番号やキャッシュカードの暗証番号といった重要情報を盗 み取るフィッシング (Web 偽装詐欺) について 159件の報告を受領しています。 フィッシングに用いる web サイトの構築を目的とした行為には、システム へ侵入する、ドメインを乗っ取るなどの行為があります。 Web 偽装詐欺 (phishing) の踏み台サーバに関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050002.txt DNS サーバの設定とドメイン名の登録に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2005/at050005.txt システムが Web 偽装詐欺に用いられた場合の対応については、以下の URL で公開している文書「コンピュータセキュリティインシデントへの対応」の V. および VI.を参照してください。 コンピュータセキュリティインシデントへの対応 http://www.jpcert.or.jp/ed/2002/ed020002.txt また、Web 偽装詐欺に対する Web ブラウザの設定に関しては、参考文献 [30] をご参照ください。 (5) その他 (other) JPCERT/CC では、上記 (1) から (4) に含まれないインシデント (サービス 運用妨害 "DoS"、コンピュータウイルスや SPAM メールの受信、架空請求、そ の他に関する問い合わせなど) について 331件の報告を受領しています。 DNS の再帰的な問合せを使った DDoS 攻撃に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2006/at060004.txt 以上 (1) から (5) をまとめたものが、以下の表です。 scan forged intrusion phishing other Total ----------------------------------------------------------------- 7月 68 0 0 57 143 268 8月 86 3 1 47 99 236 9月 65 0 0 55 89 209 ----------------------------------------------------------------- 219 3 1 159 331 713 scan : プローブ、スキャン、その他不審なアクセス forged : 送信ヘッダを詐称した電子メールの配送 intrusion : システムへの侵入 phishing : 認証情報等の不正取得 other : その他 §2. インターネット定点観測システム (ISDAS) 運用 http://www.jpcert.or.jp/isdas/ インターネット上に設置した複数のセンサーから得られる情報を収集すると ともに、世の中に流布する脆弱性情報などとあわせて総合的に評価を行い、イ ンターネット上の状況を把握するための情報を提供するサービスを行なってい ます。 I. ポートスキャン概況 インターネット定点観測システムの観測結果はスキャン推移を表すグラフと して JPCERT/CC の Web ページを通じて公開しています。 アクセス先ポート 別グラフはスキャンログをアクセス先ポート別に集計し、総計をセンサーの台 数で割った平均値を用い作成しています。 JPCERT/CCインターネット定点観測システムの説明 http://www.jpcert.or.jp/isdas/readme.html 2006年7月1日から2006年9月30日までの間に ISDAS で観測されたアクセス先 ポートに関する平均値の上位1位〜5位、6位〜10位までの推移を以下のグラフ に示します。 - アクセス先ポート別グラフ top1-5 (2006年7月1日-9月30日) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q3top1-5_port.png - アクセス先ポート別グラフ top6-10 (2006年7月1日-9月30日) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q3top6-10_port.png また、より長期間のスキャン推移を表すグラフとして、2005年10月1日から 2006年9月30日までの期間における、アクセス先ポートに関する平均値の上位1 位〜5位、6位〜10位までの推移を以下のグラフに示します。 - アクセス先ポート別グラフ top1-5 (2005年10月1日-2006年9月30日) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q3top1-5_port_year.png - アクセス先ポート別グラフ top6-10 (2005年10月1日-2006年9月30日) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q3top6-10_port_year.png II. おもなインシデントにおける観測状況 ISDAS システムにおいて下記に記載するようなスキャン事例を観測しました。 (1) TCP 5900番ポートへのスキャン増加を観測 2006年7月29日に TCP 5900番ポートへのスキャン増加を観測しました。本観 測については同ポートを使用したサービスであるRealVNC の脆弱性を狙ったス キャンの可能性が考えられます。また、2006年9月20日頃より再度増加を観測 しており、引き続き注意が必要です。 - アクセス先ポート別グラフ TCP 5900番ポート (2006/7/25-2006/9/30) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q2_5900_tcp_port.png - RealVNC サーバの認証が回避される脆弱性に関する注意喚起 http://www.jpcert.or.jp/at/2006/at060005.txt (2) TCP 139番ポートへのスキャン増加を観測 2006年8月20日に TCP 139番ポートへのスキャン増加を観測しました。本観 測については MS06-040 の脆弱性を狙ったスキャンの可能性が考えられます。 - アクセス先ポート別グラフ TCP 139番ポート (2006/8/10-2006/9/30) http://www.jpcert.or.jp/isdas/2006/2006q3_139_tcp_port.png - TCP 139番ポートへのスキャン増加に関する注意喚起 http://mmm.jpcert.or.jp/at/2006/at060012.txt III. その他 (1) eCSIRT.net IDS ネットワークへの協力 JPCERT/CC では、ヨーロッパの CSIRT コミュニティ TF-CSIRT で行なわれ ている IDS ネットワークへの技術協力をしています。詳細につきましては以 下の参考文献 [31] [32] をご参照ください。 §3. 脆弱性情報流通 http://www.jpcert.or.jp/vh/ JPCERT/CC では、脆弱性関連情報を適切な範囲に開示し、対策の促進を図る ための活動を行なっています。国内では、経済産業省告示「ソフトウェア等脆 弱性関連情報取扱基準」において、製品開発者とのコーディネーションを行な う調整機関として指定されています。また、米国 CERT/CC や英国 NISCC との 協力関係を結び、国内のみならず世界的な規模で脆弱性関連情報の流通対策業 務を進めています。 I. コーディネーションを行い公開した脆弱性情報および対応状況 2006年7月1日から2006年9月30日までの間に、JPCERT/CC が日本国内の製品 開発者 (ベンダ) などの関連組織とのコーディネーションを行ない、公開した 脆弱性情報および対応状況は 49件です。 このうち、経済産業省告示「ソフトウェア等脆弱性関連情報取扱基準」に従っ て、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) に報告され、公開された脆弱性情 報および対応状況は 28件です。 JVN#98836916: 複数のWiki クローン製品におけるサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性 JVN#73705637: ACollab における SQL インジェクションの脆弱性 JVN#44846612: ATutor におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#83768862: Ruby において、alias 機能の問題でセーフレベル 4 がサンドボックスとして機能しない脆弱性 JVN#13947696: Ruby において、特定メソッドの問題でセーフレベル 4 がサンドボックスとして機能しない脆弱性 JVN#76686161: ServerView におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#73368472: ServerView におけるディレクトリトラバーサルの脆弱性 JVN#81108784: Geeklog におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#92975133: Loudblog におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#62307185: QwikiWiki におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#27794427: Dokeos におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#65677118: Pixelpost におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#62171179: 桐におけるディレクトリトラバーサルの脆弱性 JVN#02091617: 04WebServer におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#27428836: 04WebServer におけるディレクトリトラバーサルの脆弱性 JVN#51301450: NetCommons におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#39103264: Owl における SQL インジェクションの脆弱性 JVN#01137722: Owl におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#11048526: mail f/w system においてメールの不正送信が可能な脆弱性 JVN#31125599: サイボウズ Office 6 における情報漏洩の脆弱性 JVN#90420168: 複数のサイボウズ製品におけるディレクトリトラバーサルの脆弱性 JVN#99776858: Webmin および Usermin にクロスサイトスクリプティングを含む複数の脆弱性 JVN#52201480: Microsoft Windows のインデックスサービスにおけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#46630603: MDPro におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#30144870: SugarCRM におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#68295640: Movable Type の検索機能におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 なお、以下の2件に関しては、製品開発者により既知の脆弱性と判断されたが 対策情報を周知するため公表したものとなります。 JVN#79484135: Joomla! におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 JVN#82240092: Drupal におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 また、残りの 21件は海外 CSIRT とのパートナーシップに基づき、JPCERT/CC が日本国内のベンダのコーディネーションを行い、脆弱性情報を公開しました。 JVNVU#395412: Apache httpd の mod_rewrite モジュールにおけるバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#580124: MIT Kerberos5 (krb5) の krshd および v4rcp の権限昇格に関する脆弱性 JVNVU#230208: Intel Centrino ワイヤレスネットワークドライバのフレーム処理に脆弱性 JVNVU#401660: MIT Kerberos5 (krb5) の ftpd および ksu の権限昇格に関する脆弱性 JVNVU#574464: Sony VAIO Media のメディアサーバ機能における遠隔から攻撃可能なバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#553529: Sony VAIO Media のメディアサーバコンポーネントにおけるバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#687289: Sony VAIO Media のメディアサーバコンポーネントにおけるディレクトリトラバーサルの脆弱性 JVNVU#899968: Sony VAIO Media のメディアサーバ機能におけるバッファオーバフローの脆弱性 JVNVU#697761: Sony SonicStage Mastering Studio におけるバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#824500: Intel 2100 PRO ワイヤレスネットワークドライバにおけるメモリ破損の脆弱性 JVNVU#697164: BIND において複数の再帰問合せ処理時に INSIST エラーが発生する脆弱性 JVNVU#915404: BIND の署名レコード問合せにおけるサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性 JVNVU#377369: Microsoft DirectAnimation パス ActiveX コントロールにおける入力値未チェックの脆弱性 JVNVU#381508: gzip の make_table() の配列処理における脆弱性 JVNVU#773548: gzip の LZH の取扱におけるバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#596848: gzip の LZH の取扱いにおいて無限ループが引き起こされる脆弱性 JVNVU#554780: gzip におけるバッファオーバーフローの脆弱性 JVNVU#933712: gzip の huft_build() における NULL ポインタ参照の脆弱性 NISCC-729618: X.509 証明書の検証におけるサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性 JVNVU#386964: OpenSSL の SSLv2 クライアントコードに NULL データをチェックできない脆弱性 JVNVU#547300: OpenSSL の SSL_get_shared_ciphers() にバッファオーバフローの脆弱性 II. 海外 CSIRT との脆弱性関連情報流通協力体制の構築、国際的な活動 JPCERT/CC では、国際的な枠組みにおける脆弱性関連情報の円滑な流通のた め、海外の CSIRT との協力関係を構築、強化しています。具体的には、報告 された脆弱性関連情報の共有、ベンダへの通知の共同オペレーション、公開日 の調整、各国ベンダ情報等公開情報の共有を行っています。また、情報流通を 効率化するための共通ガイドラインやシステム構築、データ交換フォーマット、 アドバイザリの標準フォーマットの策定等を共同で進めています。 主な関係機関は米国 CERT/CC、英国 NISCC (UNIRAS) です。各機関の詳細に ついては参考文献 [33] [34] をご参照ください。また以下の URL もご参照く ださい。 脆弱性関連情報コーディネーション概要 http://www.jpcert.or.jp/vh/ III. 日本国内の脆弱性情報流通体制の整備 JPCERT/CC では、経済産業省告示「ソフトウェア等脆弱性関連情報取扱基準」 (以下、本基準) に従って、日本国内の脆弱性情報流通体制を整備しています。 本基準については参考文献 [35] をご参照ください。また以下の URL もご参 照ください。なお、情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン に関しては、2006年9月1日に改訂しています。 脆弱性関連情報コーディネーション概要 http://www.jpcert.or.jp/vh/ 「情報セキュリティ早期警戒パートナーシップ」の運用を開始 http://www.jpcert.or.jp/press/2004/0708.txt 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン http://www.jpcert.or.jp/vh/partnership_guide.pdf 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン(改訂版) http://www.jpcert.or.jp/vh/partnership_guide2006.pdf JPCERT/CC 脆弱性関連情報取り扱いガイドライン http://www.jpcert.or.jp/vh/guideline.pdf 主な活動は以下の通りです。 (1) 受付機関である独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) との連携 本基準では、受付機関に IPA、調整機関に JPCERT/CC が指定されています。 このことから、JPCERT/CC は IPA と緊密に情報交換を行っています。また、 脆弱性検証ツールに関しても IPA との連携のもと分析を行っています。IPA の詳細については参考文献 [36] をご参照ください。 本基準における IPA の活動および四半期毎の届出状況については、参考文 献 [37] をご参照ください。 (2) 日本国内ベンダとの連携 本基準では、JPCERT/CC が脆弱性情報を提供する先として、日本国内のベン ダリスト(製品開発者リスト)を作成し、各ベンダの連絡先情報を整備すること が示されています。JPCERT/CC では、連絡先情報の整備に際し、ベンダの皆様 に製品開発者としての登録をお願いしています。登録の詳細については、以下 の URL をご参照ください。なお、2006年9月30日の時点で 140社のベンダの皆 様に、ご登録をいただいています。 JPCERT コーディネーションセンター製品開発者リスト登録規約 http://www.jpcert.or.jp/vh/agreement.pdf (3) JP Vendor Status Notes (JVN) の運用 JPCERT/CC は IPA と共同で、JVN を運用しています。JVN は、JPCERT/CC が取り扱った脆弱性情報に関して日本国内の製品開発者の脆弱性への対応状況 を公開するサイトです。これらの脆弱性情報には、本枠組みに参加している日 本国内の製品開発者の対応状況も含まれています。JVN については以下の URL をご参照ください。 JP Vendor Status Notes (JVN) http://jvn.jp/ JVN では上記「I. コーディネーションを行い公開した脆弱性情報および対 策状況」以外に当該期間中に 15件の脆弱性情報を公開しました。 JVNTA06-192A: Microsoft Windows, Office, IISに複数の脆弱性 JVNVU#294036: Juniper JUNOS において IPv6 パケット処理にメモリリークの脆弱性 JVNVU#936945: Microsoft PowerPoint に遠隔から任意のコードが実行可能な脆弱性 JVNTA06-200A: Oracle 製品に複数の脆弱性 JVNTA06-208A: Mozilla 製品に複数の脆弱性 JVNTA06-214A: Apple 社の Mac 向けソフトウエアに複数の脆弱性 JVNTA06-220A: Microsoft Windows, Office, Internet Explorer に関する脆弱性 JVNVU#650769: Microsoft Windows の Server サービスにバッファオーバーフローの脆弱性 NISCC-412866: HP OpenView Storage Data Protector の脆弱性 NISCC-172003: BIND 9 ソフトウエアに複数のサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性 JVNTA06-255A: Microsoft Windows, Publisher に関する脆弱性 JVNVU#845620: 複数の RSA 実装において署名が正しく検証されない脆弱性 JVNTA06-256A: Apple QuickTime に複数の脆弱性 JVNTA06-262A: Microsoft Internet Explorer の VML 処理にバッファオーバーフローの脆弱性 JVNTA06-270A: Microsoft Internet Explorer の ActiveX コントロール WebViewFolderIcon に脆弱性 (4) 脆弱性関連情報ハンドリングワークショップの開催 JPCERT/CC 製品開発者リストに登録いただいている国内ベンダの連絡担当者 にお集まりいただき、7月24日に脆弱性関連情報ハンドリングワークショップ を開催しました。ここでは脆弱性関連情報ハンドリング業務や関連活動の最新 状況を紹介するとともに、製品開発者との意見交換を行ないました。 (5) ソフトウェア・シンポジウム2006 への参加  オープンソースコミュニティに対して、日本国内の脆弱性情報流通体制に対 する理解を深めていただくために、7月19日〜22日に開催されたソフトウェア・ シンポジウム2006に参加し、脆弱性関連情報ハンドリング業務や関連活動の最 新状況の紹介、及びオープンソースソフトウェアの脆弱性情報ハンドリングに おける課題に関する意見交換を行いました。 §4. 公開文書 2006年7月1日から2006年9月30日までの間に JPCERT/CC が公開した文書は、 注意喚起 7件、JPCERT/CC レポート 13件、及び第1四半期の活動概要です。詳 細は以下の通りです。 I. 注意喚起 7件 http://www.jpcert.or.jp/at/ 2006-07-12 Microsoft 製品に含まれる脆弱性に関する注意喚起 (公開) 2006-08-09 Microsoft 製品に含まれる脆弱性に関する注意喚起 (公開) 2006-08-24 TCP 139番ポートへのスキャン増加に関する注意喚起 (公開) 2006-08-24 夏期休暇明けの対応について (公開) 2006-09-13 Microsoft 製品に含まれる脆弱性に関する注意喚起 (公開) 2006-09-20 Microsoft Windows VML の処理に未修正の脆弱性 (公開) 2006-09-28 Microsoft PowerPoint 未修正の脆弱性に関する注意喚起 (公開) II. JPCERT/CC レポート 13件 http://www.jpcert.or.jp/wr/ JPCERT/CC レポート内で扱ったセキュリティ関連情報の項目数は合計して 90件です。そのうち 13件は「今週の一口メモ」のコーナーで紹介した情報で す。 III.活動概要 1件 2006-07-19 JPCERT/CC 活動概要 [ 2006年4月1日 〜 2006年6月30日 ] §5. その他の活動 2006年7月1日から2006年9月30日までの間に JPCERT/CC が実施した、上記 §1.〜4. 以外の活動は以下の通りです。 I. APCERT 事務局運営 http://www.jpcert.or.jp/english/secretariat.html アジア太平洋地域の CSIRT の集まりである、APCERT (Asia Pacific Computer Emergency Response Team) の事務局を担当しています。詳細は参考 文献 [38] をご参照ください。 II. FIRST レプリカサーバの運用 FIRST (Forum of Incident Response and Security Teams) の Web サーバ www.first.org のレプリカサーバ (ミラーサーバ) を運用し、FIRST の活動に 貢献しています。FIRST の詳細については参考文献 [39] をご参照ください。 III. FIRST Steering Committee への参画 FIRST Steering Committee のメンバーとして、JPCERT/CC の職員が選出さ れ、FIRST の運営に協力しています。FIRST Steering Committee については 参考文献 [40] をご参照ください。 IV. その他講演など (1)Collaboration Meeting for CSIRTs with National Responsibility(2006年7月3日) 詳細については参考文献 [41]をご参照ください。 (2)フィッシング対策推進連絡会(2006年7月14日) 詳細については参考文献 [42]をご参照ください。 (3)脆弱性情報ハンドリングワークショップ 2006 Summer(2006年7月24日) (4)中央大学情報セキュリティ人材育成公開講座   情報システムのコンポーネントで見る総合セキュリティ(2006年8月21日) 詳細については参考文献 [43]をご参照ください。 (5)第3回NTT-CERT Security Workshop(2006年9月6日) 詳細については参考文献 [44]をご参照ください。 (6)September 2006 FIRST Technical Colloquium(2006年9月26日) 詳細については参考文献 [45]をご参照ください。 (7)社団法人日本インターネットプロバイダー協会フィッシング勉強会(2006年9月28日) 詳細については参考文献 [46]をご参照ください。 (8)富士通総研 特別企画コンファレンス「内部統制とIT」(2006年9月28日) 詳細については参考文献 [47]をご参照ください。 ============================================================================= Appendix. 参考文献 [1] IN-98.02: New Tools Used For Widespread Scans http://www.cert.org/incident_notes/IN-98.02.html [2] IN-98.04: Advanced Scanning http://www.cert.org/incident_notes/IN-98.04.html [3] IN-98.05: Probes with Spoofed IP Addresses http://www.cert.org/incident_notes/IN-98-05.html [4] IN-98.06: Automated Scanning and Exploitation http://www.cert.org/incident_notes/IN-98-06.html [5] IN-99-01: "sscan" Scanning Tool http://www.cert.org/incident_notes/IN-99-01.html [6] Packet Filtering for Firewall Systems http://www.cert.org/tech_tips/packet_filtering.html [7] CA-2001-19 "Code Red" Worm Exploiting Buffer Overflow in IIS Indexing Service DLL http://www.cert.org/advisories/CA-2001-19.html [8] CA-2001-26 Nimda Worm http://www.cert.org/advisories/CA-2001-26.html [9] IN-2002-04: Exploitation of Vulnerabilities in Microsoft SQL Server http://www.cert.org/incident_notes/IN-2002-04.html [10] CA-2002-27 Apache/mod_ssl Worm http://www.cert.org/advisories/CA-2002-27.html [11] AL-2002.12 W32/BUGBEAR@MM Virus http://www.auscert.org.au/render.html?it=2447 [12] AU-2002.008 Updated Information Regarding BugBear Virus http://www.auscert.org.au/render.html?it=2452 [13] IN-2002-06: W32/Lioten Malicious Code http://www.cert.org/incident_notes/IN-2002-06.html [14] IN-2003-01: Malicious Code Propagation and Antivirus Software Updates http://www.cert.org/incident_notes/IN-2003-01.html [15] CA-2003-04 MS-SQL Server Worm http://www.cert.org/advisories/CA-2003-04.html [16] CA-2003-08 Increased Activity Targeting Windows Shares http://www.cert.org/advisories/CA-2003-08.html [17] CA-2003-09 Buffer Overflow in Core Microsoft Windows DLL http://www.cert.org/advisories/CA-2003-09.html [18] CA-2003-28 Buffer Overflow in Windows Workstation Service http://www.cert.org/advisories/CA-2003-28.html [19] CERT/CC Current Activity W32/Welchia Worm http://www.cert.org/current/archive/2003/08/18/archive.html#welchia [20] IN-2004-01: W32/Novarg.A Virus http://www.cert.org/incident_notes/IN-2004-01.html [21] TA04-041A: Multiple Vulnerabilities in Microsoft ASN.1 Library http://www.us-cert.gov/cas/techalerts/TA04-041A.html [22] TA04-028A: W32/MyDoom.B Virus http://www.us-cert.gov/cas/techalerts/TA04-028A.html [23] Sasser ワームについてのお知らせ http://www.microsoft.com/japan/security/incident/sasser.mspx [24] Microsoft Windows のセキュリティ修正プログラム (835732) (MS04-011) http://www.microsoft.com/japan/technet/security/bulletin/MS04-011.mspx [25] US-CERT Current Activity: W32/Sasser http://www.us-cert.gov/current/archive/2004/06/24/archive.html#sasser [26] US-CERT Vulnerability Note VU#909678 http://www.kb.cert.org/vuls/id/909678 [27] US-CERT Current Activity: Santy Worm http://www.us-cert.gov/current/archive/2004/12/21/archive.html#Santy [28] US-CERT Vulnerability Note VU#497400 http://www.kb.cert.org/vuls/id/497400 [29] Email Bombing and Spamming http://www.cert.org/tech_tips/email_bombing_spamming.html [30] Frequently Asked Questions About Malicious Web Scripts Redirected by Web Sites http://www.cert.org/tech_tips/malicious_code_FAQ.html [31] TERENA - TF-CSIRT - Collaboration of Security Incident Response Teams http://www.terena.nl/tech/task-forces/tf-csirt/ [32] The European CSIRT Network http://www.ecsirt.net/ [33] CERT Coordination Center (CERT/CC) http://www.cert.org/ [34] National Infrastructure Security Co-ordination Centre (NISCC) http://www.niscc.gov.uk/ [35] 脆弱性関連情報取扱体制について http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/vulhandlingG.html [36] 独立行政法人情報処理推進機構 http://www.ipa.go.jp/ [37] 情報処理推進機構セキュリティセンター 脆弱性関連情報の取扱い http://www.ipa.go.jp/security/vuln/ [38] Asia Pacific Computer Emergency Response Team (APCERT) http://www.apcert.org/ [39] Forum of Incident Response and Security Teams (FIRST) https://www.first.org/ [40] FIRST Steering Committee https://www.first.org/about/organization/sc.html [41] Collaboration Meeting for CSIRTs with National Responsibility http://www.cert.org/csirts/national/conference2006.html [42] フィッシング対策推進連絡会 http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050119_4.html [43] 中央大学情報セキュリティ人材育成公開講座   情報システムのコンポーネントで見る総合セキュリティ http://www2.tamacc.chuo-u.ac.jp/kikoh/sec_ikusei/sec2006/sec2006.html [44] NTT-CERT http://www.ntt-cert.org/ [45] September 2006 FIRST Technical Colloquium http://www.first.org/events/colloquia/sep2006/ [46] 社団法人日本インターネットプロバイダー協会 http://www.jaipa.or.jp/ [47] 富士通総研 特別企画コンファレンス「内部統制とIT」 http://jp.fujitsu.com/group/fri/events/conference/conference-12.html ============================================================================= <JPCERT/CC からのお知らせとお願い> 本文書で解説したコンピュータセキュリティインシデントも含め、インター ネット上で引き起こされるさまざまなコンピュータセキュリティインシデント に関する情報がありましたら、info@jpcert.or.jp までご提供くださいますよ うお願いします。報告様式に関しては以下の URL をご覧ください http://www.jpcert.or.jp/form/ 報告様式にご記載のうえ、 info@jpcert.or.jp までお送りください。 JPCERT/CC に頂いた報告は、報告者の了解なしに、そのまま他組織等に開示 することはありません。JPCERT/CC の組織概要につきましては、 http://www.jpcert.or.jp/ をご参照ください。 JPCERT/CC では、コンピュータセキュリティインシデントに関する情報を迅 速にご提供するために、メーリングリストを開設しています。登録の方法等、 詳しくは、 http://www.jpcert.or.jp/announce.html をご参照ください。 __________ 注: JPCERT/CC の活動は、特定の個人や組織の利益を保障することを目的とし たものではありません。個別の問題に関するお問い合わせ等に対して必ずお答 えできるとは限らないことをあらかじめご了承ください。また、本件に関する ものも含め、JPCERT/CC へのお問い合わせ等が増加することが予想されるため、 お答えできる場合でもご回答が遅れる可能性があることを何卒ご承知おきくだ さい。 注: この文書は、コンピュータセキュリティインシデントに関する一般的な情 報提供を目的とするものであり、特定の個人や組織に対する、個別のコンサル ティングを目的としたものではありません。また JPCERT/CC は、この文書に 記載された情報の内容が正確であることに努めておりますが、正確性を含め一 切の品質についてこれを保証するものではありません。この文書に記載された 情報に基づいて、貴方あるいは貴組織がとられる行動 / あるいはとられなかっ た行動によって引き起こされる結果に対して、JPCERT/CC は何ら保障を与える ものではありません。 __________ 2006 (C) JPCERT/CC この文書を転載する際には、全文を転載してください。また、最新情報につ いては JPCERT/CC の Web サイト http://www.jpcert.or.jp/ を参照してください。 JPCERT/CC の PGP 公開鍵は以下の URL から入手できます。 http://www.jpcert.or.jp/jpcert.asc __________ 改訂履歴 2006-10-17 初版 (JPCERT-PR-2006-0005) -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: 2.6.3ia Charset: noconv iQCVAwUBRTRca4x1ay4slNTtAQHf2gP/btStQNseMo6e2BF/v0Ran+ZlcAakdvDY 3BZ+0UKpxVy4m9Jzl6lB13zAcSr4so4/i+UnqLbIJ5xguMVSD9WhOtMsVxXj/ksA mPtDgPSyU3tJWP+XGjtnlazs0Dis8DPW9tJKh+UxZcgEhTZdCNq1oZKqq0CE/MCy tD0VKQcdH7E= =7Pi9 -----END PGP SIGNATURE-----