-----BEGIN PGP SIGNED MESSAGE----- ====================================================================== JPCERT-E-NL-97-0002-01 JPCERT/CC 活動概要: 不正アクセスの動向 [ 1997年4月1日 〜 1997年6月30日 ] 発 行 日: 1997/07/18 (Ver.01) 最新情報: http://www.jpcert.or.jp/nl/97-0002/ ====================================================================== 本文書では、1997年4月1日から1997年6月30日までの3ヶ月間に、JPCERT/CC が情報提供を受けた不正アクセスの動向について概括します。 不正アクセスの動向: 1997年4月1日から1997年6月30日までの間に JPCERT/CC が情報提供を受けた 不正アクセスの件数は 61 件でした。それら不正アクセスのうち主なものを類 型化すると、おおよそ次のパターンに分類できます。 (1) ネットワークニュース・サーバ (INN) を悪用した攻撃 1997年5月1日発行の「JPCERT/CC 活動報告 (JPCERT-E-NL-97-0001)」で報 告した INN のセキュリティ・ホールを悪用する攻撃が、引き続き行われ ています。JPCERT/CC は、INN に関する攻撃について 15 件の報告を受け ました。この攻撃は、INN のセキュリティ・ホールを悪用して、 /etc/passwd ファイルや /etc/inetd.conf などの重要なシステム・ファ イルを盗用したり、システムの運用状態を遠隔から盗み見ようとするもの です。詳細は、次の URL をご参照ください。 http://www.jpcert.or.jp/info/97-0002/ また、参考文献 [1] もご参照ください。 (2) 電子メールの不正な中継と電子メール爆撃 JPCERT/CC は、電子メールの不正な中継と電子メール爆撃について 12 件 の報告を受けました。これは、電子メール配送プログラム (sendmail) の 機能を悪用して、他サイトのホスト上で動いている sendmail プログラム に、不正に電子メールを中継させるという攻撃です。この攻撃を受けたホ ストは、計算機資源が大量に浪費され、メールの不正中継を行ったホスト が、メール爆撃の発信元であるという疑いをもたれる可能性があります。 電子メールの不正利用については、次の URL をご参照ください。 http://www.jpcert.or.jp/tech/97-0001/ また、参考文献 [2] [3] もご参照ください。 (3) システムへの不正侵入 JPCERT/CC は、ホストへの不正侵入について 12 件の報告を受けました。 既知のセキュリティ・ホールを悪用してパスワードファイルを盗用しよう とする攻撃やパケット盗聴プログラムによって得られたパスワードの不正 利用が発生しています。パスワードファイルが盗用されてしまうと、何ら かの方法でパスワードが破られ、システムに侵入されることがあります。 また、cracker はホストに侵入すると、一般的に裏口 (back door) の設 置を行います。よって、パスワードの変更を行っても他の方法で再び侵入 される可能性があります。JPCERT/CC は、tcp_wrapper のようなツールの 導入により、外界からの接続を監視・規制することを推奨します。パスワー ドファイルの盗用については、参考文献 [4] もご参照ください。 tcp_wrapper は以下の URL から入手することができます。 ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/tools/tcp_wrappers/ (4) Web サーバーの cgi-bin プログラムを悪用した攻撃 一部の Web サーバーを標準構成でインストールしたままの状態で運用し 続けると、設定の誤りによって、外部から不正なコマンドを実行するよう に仕向けられることがあります。JPCERT/CC は、このような Web サーバー のセキュリティ・ホールを悪用した不正アクセスについて 5 件の報告を 受けました。このセキュリティ・ホールを悪用されると、/etc/passwd ファ イルを盗用される等のアタックを受けることがあります。cgi-bin プログ ラムの悪用については、参考文献 [5] [6] [7] [8] もご参照ください。 (5) パケット盗聴プログラムによる攻撃 JPCERT/CC は、ホストに侵入され、パケット盗聴プログラムを仕掛けられ るというアタックに関する報告を引き続き受け取っています。パケット盗 聴プログラムをインストールされてしまうと、そのホストに接続されてい るネットワーク上を流れるパケットが盗聴されます。盗聴によって、遠隔 ログイン時に入力するホスト名、ユーザー名、パスワード (平文) が盗用 されるおそれがあります。パケット盗聴については、参考文献 [9] もご 参照ください。 注:ここにあげた件数は、JPCERT/CC が受け付けた報告の件数であり、実際の 不正アクセスの発生件数を類推できるような数値ではありません。また不正ア クセスのパターンごとの実際の発生比率を示すものでもありません。 - ---------- <参考文献> [1] CERT(sm) Summary CS-97.02 - SPECIAL EDITION (Original) ftp://info.cert.org/pub/cert_summaries/CS-97.02 (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/cert_summaries/CS-97.02 [2] Email Bombing and Spamming (Original) ftp://info.cert.org/pub/tech_tips/email_bombing_spamming (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/tech_tips/email_bombing_spamming [3] Spoofed/Forged Email (Original) ftp://info.cert.org/pub/tech_tips/email_spoofing (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/tech_tips/email_spoofing [4] Protecting Yourself from Password File Attacks (Original) ftp://info.cert.org/pub/tech_tips/passwd_file_protection (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/tech_tips/passwd_file_protection [5] Vulnerability in NCSA/Apache CGI example code (Original) ftp://info.cert.org/pub/cert_advisories/CA-96.06.cgi_example_code (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/cert_advisories/ CA-96.06.cgi_example_code [6] Interpreters in CGI bin Directories (Original) ftp://info.cert.org/pub/cert_advisories/ CA-96.11.interpreters_in_cgi_bin_dir (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/cert_advisories/ CA-96.11.interpreters_in_cgi_bin_dir [7] Vulnerability in the httpd nph-test-cgi script (Original) ftp://info.cert.org/pub/cert_advisories/ CA-97.07.nph-test-cgi_script (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/cert_advisories/ CA-97.07.nph-test-cgi_script [8] Buffer Overflow in php.cgi http://www.secnet.com/sni-advisories/sni-11.php_overflow.advisory.html [9] Ongoing Network Monitoring Attacks (Original) ftp://info.cert.org/pub/cert_advisories/ CA-94:01.network.monitoring.attacks (Mirror) ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/cert/cert_advisories/ CA-94:01.network.monitoring.attacks - ---------- <JPCERT/CC からのお知らせとお願い> 本文書で解説した不正アクセスも含め、インターネット上で引き起こされる さまざまな不正アクセスに関する情報がありましたら、info@jpcert.or.jp ま でご提供くださいますようお願いします。JPCERT/CC の所定の様式 http://www.jpcert.or.jp/form.html にご記載のうえ、関連するログファイルのメッセージとともに、 info@jpcert.or.jp までお送りください。 JPCERT/CC に頂いた報告は、報告者の了解なしに、そのまま他組織等に開示 することはありません。JPCERT/CC の組織概要につきましては、 http://www.jpcert.or.jp/ をご参照ください。 JPCERT/CC では、不正アクセスに関する情報を迅速にご提供するために、 メーリングリストを開設しています。登録の方法等、詳しくは、 http://www.jpcert.or.jp/announce.html をご参照ください。 - ---------- 注: JPCERT/CC の活動は、特定の個人や組織の利益を保障することを目的と したものではありません。個別の問題に関するお問い合わせ等に対して必ずお 答えできるとは限らないことをあらかじめご了承ください。また、本件に関す るものも含め、JPCERT/CC へのお問い合わせ等が増加することが予想されるた め、お答えできる場合でもご回答が遅れる可能性があることを何卒ご承知おき ください。 注: この文書は、不正アクセスに対する一般的な情報提供を目的とするもの であり、特定の個人や組織に対する、個別のコンサルティングを目的としたも のではありません。また JPCERT/CC は、この文書に記載された情報の内容が 正確であることに努めておりますが、正確性を含め一切の品質についてこれを 保証するものではありません。この文書に記載された情報に基づいて、貴方あ るいは貴組織がとられる行動 / あるいはとられなかった行動によって引き起 こされる結果に対して、JPCERT/CC は何ら保障を与えるものではありません。 - ---------- 1997 (c) JPCERT/CC この文書を転載する際には、全文を転載してください。情報は更新されてい る可能性がありますので、最新情報については http://www.jpcert.or.jp/nl/97-0002/ を参照してください。やむを得ない理由で全文を転載できない場合は、必ず原 典としてこの URL および JPCERT/CC の連絡先を記すようにしてください。 JPCERT/CC の PGP 公開鍵は以下の URL から入手できます。 ftp://ftp.jpcert.or.jp/pub/jpcert/JPCERT_PGP.key - ---------- 更新履歴 1997/07/18 First Version. -----BEGIN PGP SIGNATURE----- Version: 2.6.3i iQCVAwUBM87FlYx1ay4slNTtAQGwQQP/fjg5xac1qjrR57rBEwZGBYa5kA7F8+bU jWB672V98nN1vYUJy1PWnWSFs+KS5rNfqpZXT5iS294MSQeMZOOfn1KQw+2ru3p6 p35cfAUZGsv6LZ/doC3nBEJIyFSHqZXYk+25mBG6MX1R6YtxF6qeR5LDHBhVmMPQ npHlPfNMZHU= =w43O -----END PGP SIGNATURE-----