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インターネットセキュリティの歴史 第21回「Antinny による情報漏えい多発」

2003年8月、ファイル共有ソフトウェア Winny を介して感染を広めるウ
イルス Antinny が現れました。この初期のウイルス自体は Winny ネッ
トワークを利用して自身の感染拡大を行う機能を持つだけのものでした。
その後次々と亜種が発生していく中で Antinny は、「暴露ウイルス」
の機能を有していき、数多くの情報漏えい事故を発生させることになり
ました。

これら亜種の中で、大きな注目を集めたのは、2004年3月末に発見され
た Antinny.G です。この亜種はデスクトップ画面のスクリーンショッ
トやデスクトップ上に置かれたファイル、また Outlook Express のア
ドレス帳に登録されたアドレスなどをアーカイブし、Winny ネットワー
ク上に暴露します。また、これ以降「コンピュータソフトウェア著作権
協会 (ACCS)」に対して DoS 攻撃を行う機能を持つ亜種が発生しました。

ファイル共有ネットワークに流出したファイルを完全に消去することは
難しいため、情報漏えい事故の未然防止を呼びかける注意喚起が国内の
複数の団体からなされました。しかし、情報漏えい事故は減らず、2006
年3月には安倍官房長官 (当時) が Winny の使用を控えるよう国民に呼
びかけを行うという異例の事態となりました。
参考文書(日本語)

Weekly Report 2008-10-01号 に掲載

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